COLUMNシアトルにオフィスを構え、島田のお茶を全世界へ届ける「杉本製茶株式会社」
島田市横岡に本社・工場、ワシントン州シアトル近郊にインターナショナルオフィスを構える杉本製茶株式会社。
世界中で飲まれている杉本製茶株式会社のお茶はどのように広がっていったのでしょうか?営業の杉山 真さんにお話を伺いました。
Q.杉本製茶株式会社さんはどんな会社ですか?
※以下、杉本製茶さんのコメントは緑色で記載してあります※
当社は製茶の加工と販売をしている会社です。創業は1946年で、現在の社長・杉本将明で三代目となります。
創業当初は、地元のお茶屋さんや小売店などを中心にお茶の販売をしていました。先代の頃からアメリカへお茶の輸出を始め、現在ではアメリカだけでなくヨーロッパやアジアなど全世界に販売が広がっています。
海外でも好まれるお茶を作っているんですね
当社で作られる深蒸し茶が、海外に向いているのだと思います。
茶葉を熱風で乾燥させる工程「火入れ」が強めで、コク深い味わいを持つ深蒸しの煎茶を、当社は得意としています。国内の品評会では、どちらかというと茶葉の風味が分かりやすい火入れが弱いものが高い評価を得る傾向ですが、海外では火入れが弱いと芝生のような香り、青臭いと言ってあまり受け入れられないんですよ。そのため海外では当社の煎茶が受け入れられたのだと思います。
また、世界中で抹茶ブームが巻き起こったこともあって、抹茶の出荷も多いです。当社の抹茶は契約農家から仕入れる厳選された碾茶をブレンドして、色や香り、味の新鮮さにこだわっています。
増え続ける抹茶の需要に応えるべく、2019年に海外向けの抹茶専門の新工場を新設し、新たに粉砕機や冷蔵庫などを完備して増産体制を整えました。
Q.海外進出のきっかけは?
25年程前にシアトルから来たアメリカ人が、偶然当社に立ち寄ったことから始まりました。
その人は大井川流域を回ってお茶を探していたということで、当社のお茶を飲んでとても気に入ってくれたんです。そしてスーツケースいっぱいにお茶を詰めて、シアトルに持ち帰っていきました。
そのご縁がきっかけで海外輸出を始めることになったのです。
その後、2005年には現在の社長の弟が代表となり、シアトル近郊に現地法人「Sugimoto Tea Company」を立ち上げました。現地法人は北米地域を担当し、ヨーロッパやアジア、中東との取引は、時差の関係もあり本社が担当しています。
輸出を始めた1998年当時の取引量は、一度にダンボール1箱程度でした。そこから取引を続けていき、現在では毎月大型コンテナでの海上輸送や空輸にてお茶を出荷しており、当社の売上の8割ほどを占めています。
海外取引ならではの苦労もありそうですね
海外企業との取引では、食品のおいしさだけでなく衛生管理や各種認証の取得、環境問題への取り組みや、社会貢献などの観点からも厳しい要求が求められます。
当社でも輸出が増えるにつれて海外の大手企業にも対応できるように、2014年には食品安全国際規格のFSSC22000を取得して、世界基準で衛生的な生産ができるような体制を整えています。
また製造には再生可能エネルギー由来の電力を使用し、CO2の排出量を抑えています。
ほかにも、茶葉と一緒に土に返すことができる生分解性素材をティーバックに用いるなど、環境負荷の低減にも積極的に取り組んでいます。
2014年に取得したFSSC22000の認証登録証明書
Q.今後の目標や伝えていきたいことはありますか?
現在、国内では価格競争が激しいですが、海外ではおいしければ価格が高くても購入するという考え方が強いです。価格を適正に保つことは、茶葉を生産する農家を守ることにも繋がっていきます。
当社でも茶農家から正規価格での取引を実施していくことで、今後持続可能な農業を生産者と共に図り、ひいては高品質の製品を提供していくことに繋げていきたいと考えています。
就職・転職を考えている人に向けてメッセージをお願いします。
当社では、一緒に働いてくれる人を募集しています。
語学等の応募資格は特にありません。自分が作った製品が海外で販売されるという充実感は格別ですので、ぜひ感じてみてください。
従業員は数年に一度、アメリカでの展示会のお手伝いや、実際に海外で杉本のお茶が販売されている所の視察などで出張してもらう機会も設けています。(コロナ禍で中止していましたが、近々復活する予定です)海外や輸出に興味がある人にはおすすめです。
育休産休制度も整い、有給取得率は80%以上です。従業員の平均年齢は30代半ば、製造部門では20代が多く活躍しています。
興味がある人は、ぜひ一度ご連絡ください。